POP X | History of Megabass | Megabass - メガバス オンラインショップ
THE HISTORY OF MEGABASS メガバスルア−達の、歴史を紐解く。

POP X トップウォーターの世界を変貌させたサイレントポッパー

1995年の衝撃的なデビュー以来、世界中のアングラーに愛されてきたPOP X。分類上は間違いなくポッパー。しかしその実体は、弱々しい小魚にも水面でもがく昆虫にもなる、多彩な演技を身上とするライフライクな生命体だ。また、今日の日本独自の“虫パターン”を生み出す原点・原型ともなった、レジェンドベイトでもある。今回は革命的トップウォータープラグ・POP Xのヒストリーを紐解いていこう。

HISTORY

ポッパーはバスルアーのなかでも歴史が古く、アメリカのオールドルアーにも個性的な名作が数多く存在する。もちろんPOP Xも、そんな偉大なルアーの系譜に連なるレジェンドのひとつだが、その性能やコンセプトは過去の名作をなぞったものではない。
POP Xの誕生以前、ポッパーというルアーに共通して装備されていたのは、激しいスプラッシュと派手なポップ音ではないだろうか。少なくとも、バスアングラーがポッパーに抱くイメージは、そのようなものであったはずだ。

スプラッシュとポップ音は、遠くにいるバスを呼び寄せたり、活性の高いバスの闘争本能を刺激したりするには非常に有効な武器である。しかし晴天無風の日中や、プレッシャーの高いタフレイクなど、バスがナーバスな状況では逆効果。むしろ繊細で控えめな、ナチュラルな動きが求められることもしばしばある。そこに着目し、タフな状況を制するために開発されたポッパーがPOP Xなのだ。もちろん、ド派手で刺激的な演技もレパートリーのひとつ。静から動まで多彩なアクションパターンをもつPOP Xではあるが、その基本はあくまでもナチュラルというところに、誕生の経緯と効果的な使い方のヒントが隠されている。

デザイナーの伊東由樹は、地球丸から1999年に発行された「常識破りのバス釣り 66の極意」のなかで、“チューニングを超えたサイレントポッパーの操作術”と題してPOP Xの秘密を振り返っている(一部修正)。
「POP Xは、ポッパーという割にはガバッとか、ゴボッとか言って水をドハデに撒き散らしたり、わめいたりしない。理由は、私がそんなポッパーが嫌いだからだ。実は私はPOP Xを作るまで、ポッパーを使って爆釣したことがなかったのだ。というより、ポッパーでなければいかん、という状況がなかったのだ。ところがある日、地元のダム湖で釣りをした時のこと。その日は何をやってもダメだった。ワームもミノーも、まるで効果がなかった。そんなとき、私は当時売る気がなかった自作のバルサ製POP Xに手を伸ばし、沈黙する沖目の立ち木にキャストした。

私のPOP Xは、ポッパーらしからぬ控えめな音だった。 するとどうだろう。バスが突如狂い出し、次々と活性化するという状況にぶち当たったのだ。ほかのルアーじゃダメなのだ。この、もの静かなバルサポッパーだけが、この日のバスの活性を上げてくれることを発見したのだ。POP Xがデビューする6年前の話である。このあと、池原ダムでも三瀬谷ダムでも、当時の風屋ダムでも、ニューハンプシャーでも、バーモントでも、マサチューセッツでも、同じ経験をした。サイレントポッパーがクリア~弱ステインのレイクでバスのニュートラル状態を断ち切る、という経験だ。
こうして、いくつかの試行錯誤の段階を経て現在のPOP Xになったが、やはりキモは、ともすると周囲の雑音に消え入りそうな、ライフライクなチュピ、チャプという音と、小さく水をまとめ上げて拡散するスプラッシュ、そしてあの、水に絡んで悶える虫っぽい首振りの動きだ。このレスポンスを正しく引き出すには、激しい使い方をしてはダメ。あくまでもロッドティップを数センチ動かして操作するという、超繊細な動かし方を意識することだ。この時、ロッドティップは水面に向けて下げたほうが扱いやすい。スプラッシュを出すときも、ルアーとロッドの距離が離れれば離れるほどロッドを立てて使い、接近するにしたがってロッドを下げていくとスプラッシュさせやすい。

私のPOP Xタックルは、デストロイヤーのF1またはF3クラスにPEライン1.5号(※当時のセッティング。ラインはフロロでもナイロンでもかまわない)。スプラッシュさせるときには、水面をPOP Xの下あごで“デリケートに削るような感じ”で動かすといい。
誰にでも簡単に動かせるお愛想ルアーをよしとするか、テクを駆使して使うのをよしとするか。ポッパーはその風貌から“ハデに使うもの”と思ってしまいがちだが、デリケートに扱うサイレントポッパーには、週末のメジャーレイクの水面をさく裂させる力が宿っている」。

こうして生まれたPOP Xは、メガバス伝統の細密な塗装を施され「まさにベイトフィッシュ!」と言いたくなるほどのリアルな外観で、各種人気ルアーランキングのトップを維持してきた。だが、実は見た目のリアルさ以上に釣果に貢献していると思えるのが、前述のナチュラルでベイトフィッシュライクな弱アピールなのだ。ポッパーのなかでは比較的おとなしいスプラッシュだが、それゆえ決してバスをスレさせず、エサよりも、ライトリグよりも釣れてしまうことさえあるのは、「自然界に普通に存在する」動きや音の効果だろう。POP Xはノンプレッシャーのフレッシュなフィールドはもちろん、ほかのトップ系プラグで散々攻められた後のポイントですら自信を持ってキャストできる、そんなルアーなのである。

POP Xの釣獲力は発売から何年経過しても色褪せることがなく、いまなお狡猾なビッグバスの警戒心をも解いてしまうポテンシャルがある。日本人が考案、製作し、日本のアングラーと釣り文化によって育てあげられたPOPXは、世界のフィールドに向けて日本が誇りを持って発信できる、真のジャパンオリジナルなのである。

FEATURE

ハイドロカップ&ウォーターダクト PAT.

POP Xのナチュラルなサウンドと、独特な動きを生み出すために追求したハイドロカップには、ウォーターダクトが設けられている。POP X独自の生物的サウンドは、カップが受けた過剰水流をダクトから取り入れ、かつ唇の後方へと逃がすことにより実現。また、ダクトの整流効果は安定したドッグウォークを生み出すだけでなく、ソルトウォーターでも威力を発揮。高速リトリーブでもルアーがバランスを崩しにくく、優れた安定性を実現させている。

きちんと水に絡みつく比重設定

POP Xはサイズの割に、きちんとした存在感を水面下の魚に与える。ウッドの比重をボディ樹脂そのものにもたせて成型。これはPOP Xの周りにからむ水押し波紋や、アクションの軌跡を見れば一目瞭然。朝夕のマズメだけでなく真夏の日中のクリアレイクにおいても威力を発揮する。

スピットアウトスプラッシュ &
ローリングドッグウォーク・アクション

トップウォーターの世界を変貌させたPOP Xの特徴的な動きは、ユニークなカップ形状が生み出す独特な水押し波紋と、きれいにまとめあげるスピットアウトスプラッシュ、そして独特のローリングドッグウォーク。光の明滅までも取り入れたその動きはPOPXならでは、ともいうべきものだ。

DESIGNERS VOICE

伊東 由樹

「もともとPOP Xは、自分の釣りのなかで使うワンメイクのルアー、いまでいう“虫”系ルアーだった。それまでのポッパーはスプラッシュとかポップ音とかが主体で、僕がイメージするものとは違っていた。私がイメージするポッパーのサウンドは“ガバッ”でも“バホッ”でもなく、もっと控えめな“チュパ”。つまり自然界に普通に存在するサウンドとでもいうのだろうか。さらに、徹底的にピンスポットでステイさせ、“ネチる”ことができるものであること。そうしたライフライクなサイレントポッパーに確信を抱いて、初めてPOP Xを本腰入れて開発しようと思うことができた。

開発年次から数えれば、すでに30年が経過しているが、いまなお圧倒的な釣果を出し続けるPOP Xは、開発者である私自身のトップウォーターの常識を根本からくつがえし、新たな水面攻略理論を世に広めるきっかけとなったルアーだ。テストは夏のマサチューセッツ州・ディアフィールドリバーで毎日、スモールマウス相手に試行錯誤を繰り返し、アラガッシュのカヌーをカートップして、カナダの国境を目指して旅もした。当時、メガバスUSAの敷地にあった馬小屋をベースキャンプに40日間におよぶテスト。気が遠くなるほどのプロトタイプを用意しては釣りまくり、帰国後も、また新しいプロトを作っては釣る、の繰り返し。そのなかから生まれたルアーだからこそ、使い手の感覚を呼び起こす特殊なベイトになり得たと思っている」

実は伊東は1996年に、POP Xとは対極となるハイアピールポッパー“ガバリン”を試作。
このルアーはオーバーハングや立木のピンスポットを“ネチる”POP Xに対して、琵琶湖や霞ケ浦といったビッグレイクをダイナミックに斬っていくタイプ。それがのちにメガバスのとある名作ルアーに発展するのだが、その話は次回のヒストリー・オブ・メガバスでお伝えしよう。

LINE UP

【1995年~】

POP X

  • LENGTH : 64.0mm
  • WEIGHT : 1/4oz.
  • カラーラインナップを確認

POPXの登場によって、トップウォーターの世界は変貌してしまいました。ユニークなカップ形状が生み出す独特な水押し波紋、きれいにまとめあげる、スピットアウトスプラッシュ、そしてなによりも、繊細なロッドワークに敏感に反応し、ネチネチと首をふる、あの独特のローリングドッグウォークは、もはやPOPXならでは、ともいうべきもの。こうしてPOP Xは、およそ10パターンにおよぶ多彩かつ、オリジナルな機動性を誇っています。POP Xは、タフコンディション下でスプークするモンスターにスイッチを入れてしまう世界最強のキルム・ベイト。日本人が考案、製作し、日本のアングラーと釣り文化によって育てあげられたPOP Xは、世界のフィールドに向けて日本が誇りを持って発信できる、真のジャパンオリジナルなのです。

【2004年~】

POPMAX

  • LENGTH : 78.0mm
  • WEIGHT : 1/2oz.
  • カラーラインナップを確認

POPMAXは、メガバスPOP Xモールドのデータベースを一切使用せずに、POPXを白紙に戻して基礎研究を積み上げ、伊東のハンドカーヴィングボディと高度なハイドロメカニクスが生み出した次世代の水面撹拌型ルアーです。ファンシーなビッグプラグを見切ってきた、狡猾なビッグフィッシュを餌食にしてしまう驚異のダイナミック・パフォーマンスを発揮。そのボディサイズをまったくネガとしない、わずかなロッドワークに反応する鋭敏な挙動レスポンス。卓越した超ロングディスタンス性能と驚くほどサイレントな着水音。内蔵されたアイティオーウォーターチャンバーシステム(PAT.P)が、新次元のトップウォーターダイナミズムをすべてのアングラーにもたらします。

【2009年~】

BALSA MAX

  • LENGTH : 80.0mm(BALSA MAX)
    90.0mm(BALSA MAX LONG)
  • WEIGHT : 1/2oz.(BLSAMAX)

BALSA MAXは、ウッドプラグ以上のアクションのキレを追求するあまり、加工が難しいうえ、あえて入手困難なソフトバルサを主材料として使用することに。
しかも、POPMAX同様の優れたハイドロパフォーマンスを安定的に実現するために、スプラッシュカップとウォーターチャンバーセクションは、ABS樹脂を用いて精密加工。
つまり、「天然素材」と「ハイスペック」が融合した、世界初のハイブリッドプラグです。
BALSA MAXは、同サイズのプラスティックプラグと比較して、圧倒的に静かな着水音を実現。繊細なロッドワークにも過敏に反応し、卓越したアクション・レスポンスを発揮します。
なお、エアをたっぷり含んだソフトバルサボディを使用していますので、その超浮力体特性から、大型ウエイトを内蔵することが可能に。浮力を維持したうえで、脅威のロングディスタンスキャスタビリティを発揮。同サイズのプラスティックプラグよりも圧倒的に飛びます。また、水面を乗り出す激しいラフアタックにも、プラグを弾き飛ばしてしまうことなく、高確率でノセてくれます。
機敏かつ、繊細に動かせるバルサプラグ特有の優れたコントローラビリティは、トップウォータープラグのコントロールを何倍も楽しくさせてくれることでしょう。
ハイブリッドプラグ、BALSA MAXならではの卓越したパフォーマンスと釣果を、ぜひお確かめください。

【2012年~】

WOODY POPX

  • LENGTH : 65.5mm
  • WEIGHT : 1/4oz.

トップウォーターの世界を変貌させてしまったPOPX。開発当初POPXは、ナチュラルウッドボディで製作され、幾度にもわたる実釣テストが繰り返されていました。
当時トップウォーターの世界は、一部のベテランアングラーによる難しい釣りとされていた時代。誰もがトップウォーターゲームの醍醐味を体感できるものではありませんでした。そんな時代だからこそ、手軽にトップウォーターゲームが楽しめるルアーが求められ、伊東はインジェクション製法による製品開発を着手。ウッドボディで開発されたPOP Xを、インジェクションボディでいかに忠実に再現するか。実に膨大な時間が費やされ、そして誕生したのが現在のPOP Xです。
ウッドモデルのPOP Xには多くの声が寄せられましたが、決して製作、発売されることはありませんでした。そのウッドモデルが、2012年、成熟したアングラーのために革新的先進技術によって現代に蘇ります。

【2012年~】

BABY POPX

  • LENGTH : 50.0mm
  • WEIGHT : 3/16oz.
  • カラーラインナップを確認
MS004型(V-4 BUZZ)

1996年、世界最強のマルチファンクショナル・ポッパーとして登場したPOPXは、トップウォーターの世界を変貌させてしまいました。独特のカップ形状が生み出す水押しアクション。小気味のよいスプラッシュサウンド。そしてなによりも、繊細なロッドワークに敏感に反応し、ネチネチと首を振るショートスライド・ドッグウォーク。伊東が考案、製作し、日本のアングラーと釣り文化によって育てあげられたPOP Xは、15年間にわたり多くのアングラー達に愛されつづけています。
実はそのPOP Xに、伊東専用のプライベートモデルが存在。そのフォルムは真さにPOP X。超小型ボディでありながら、広域エリアをハイテンポでサーチできるロングディスタンスキャスタビリティを実現。マウス中央部にレイアウトされたラインアイにより、水面を軽快にドッグウォーク。マイクロフォルムならではの静かな着水音と、ピンスポットでもわずかなロッドワークに俊敏に反応する生命感あふれるスプラッシュサウンドが、百戦錬磨のスプーキーなモンスターを確実に魅了します。

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